摩擦低減材 ラブケミカ®

 ラブケミカ®は、当社独自技術である高吸水性ポリマータイプ止水材の応用製品であり、1991年に上市しました。鋼材を打設後に引抜き再利用する際、地盤との摩擦抵抗が大きいと土砂の共上がりを招いたり、引き抜くために大きな機材を用意するなどの必要に迫られる場合があります。ラブケミカ®をH鋼、鋼矢板碁礎杭などに予め塗布・乾燥して施工すると、塗膜が地中の水分や周辺固定液を阪収して膨潤体を形成し、この膨潤体が潤滑層として働き、被塗物表面にかかる摩擦を著しく低減させます。このメカニズムにより接触面との縁が切れ、鋼材の引き抜きが容易で、かつ土砂の共上がりを防ぎ、地盤の安定化に寄与することから、鋼矢板仮設工、基礎杭のネガティブフリクション対策や載荷試験を実施する業者および機関から厚い信頼を得ています。

 ラブケミカ®は、安定した効果を発揮することに加え、化学製品特有の臭いも抑えられており、 1層塗りで完結できる良好な作業性、丁寧な技術サービスという特徴から、多くのユーザーから高評価を得、止水材パイルロック®とともに採用実績を積み上げています。

目次

ラブケミカ®の摩擦低減メカニズム

 ラブケミカ®を予め被塗物表面に塗布乾燥した後に施工すると、塗膜が地中の水分や周辺固定液を吸収し膨潤体を形成します。この膨潤体が表面潤滑剤として機能し、被塗物表面にかかる摩擦力を著しく低減させることができます。 また、基礎杭に塗布することで地盤沈下によって生じるネガティブフリクション(負の摩擦力)対策としても有効です。
 また、本材料は、新技術の活用、新技術に関わる情報の共有及び提供を目的とした国土交通省・新技術情報提供システム(New Technology Information System:NETIS)に登録された実績があります。(旧登録)

ラブケミカの膨潤潤滑メカニズム

ラブケミカ®の特長

  • ラブケミカ®は液体塗料状で、塗布のための専用ラインが不要
  • 工場や現場のストックヤード等で塗布が可能
  • ローラー、刷毛等で塗布が簡単
  • 乾燥が早く、硬い塗膜になるので、被塗物の取扱いが用意
  • 中性土壌から、地盤改良土壌、アルカリ性のセメントミルクまで幅広い範囲の土壌で効果を発揮 

H形鋼の引抜き試験結果

 ラブケミカ®の実現場での効果を確認するため、H形鋼を用いた比較試験を行いました。ラブケミカ®を塗布したH形鋼および無塗布のH形鋼を準備し、以下条件にて打設後16時間後に引抜きを行い、引抜き荷重を測定しました。

 その結果、無塗布に比べ約1/10の摩擦力であることが分かりました。打設してから引き抜きまでの時間が短時間であった為1/10で留まりましたが、実験室の試験から考察すると埋設時間を延長する事により更に低減できるものと推察されます。

塗布の状況
ラブケミカ塗布、未塗布のH形鋼
ラブケミカの摩擦力低減効果

試験地盤 :CSM(クワトロ)掘削機造成地盤

使用H鋼 :H300×300×10×15×10.0m

サンプル :無処理 、ラブケミカ塗布(1.05Kg/m2)

試験方法 :打設後、16時間後に引抜き

引抜き方法:油圧ジャッキを用い引き抜き、

      縁切り時の圧を測定

試験評価法:引抜き荷重を表面積で除し摩擦力(t/m2)

      として算出

ラブケミカの種類

 ラブケミカの特殊品として、アルカリ環境下で良好に膨潤し、淡水や海水環境下では膨潤しにくいラブケミカALもラインナップしています。地中連続壁工法[H形鋼等の芯材建込・コンクリート充填・ソイルセメント充填・固化剤充填]において、H形鋼等の芯材の撤去引抜き時の摩擦低減用途に適しています。

ラブケミカの種類と膨潤特性

項 目ラブケミカラブケミカAL
膨潤性淡水
塩水
アルカリ水
主な用途摩擦低減、載荷試験、引抜き
ラブケミカALの地中連続壁工法への適用
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